6.秋のソナタ
作詞:谷村新司
作曲:谷村新司
突然に涙溢れ 泣き出す小さな目に
いつも通りの笑顔で おまえだけは見送ると
心に決めていたのに……
時間がない何でもいい一言話してくれ
汽車のベルが鳴り出した 耳に残しておきたい
おまえの小さな声を
紙切れだけで 愛が裁けるものだろうか
女として生きてゆく 母のもとへ
汽車はホームを離れる
こぶしをかみ見つめている おまえが扉越しに
消えてゆく駅のホームに
秋のソナタが聞こえていた
おまえがいた部屋の隅に 小さなグラブ一つ
楽しかった公園の 二人きりの休日を
嫌でも思い出させる
紙切れだけで 愛が裁けるものだろうか
女として生きてゆく 母のもとで暮らす
おまえの日々を
この部屋で思い出だけ 抱きしめ生きてゆける
強い男じゃないことだけは
今確かに気付いている
この部屋の窓の外の おまえが生まれた日の
記念樹を植えた庭にも秋のソナタが聞こえている
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